こんにちは!
私は「WORLD CONFERENCE ON EXERCISE MEDICINE:世界運動療法学会」という団体の外部委員を2019年から務めていて、主に「EXERCISE & AGEING:運動と老化」をテーマとした研究報告を行ってきました。
世界的に高齢化が問題となる折から、老後資金への関心が高まっているように感じます。
もちろん預貯金は大切なことなのですが、私が関わっている運動療法という観点からは、老後を迎える前になるべく筋力を高めておくことも同じく重要なことだと言えます。
それどころか、お金では買えない老後の健康(健康寿命)には筋力が大きく影響するため、私個人としては金力よりも筋力のほうに一層の注意を払うべきだと考えています。
ではこれから、老後の蓄えとして筋力がどのように関わるのか、順を追ってお話したいと思います。
人間は20歳まで勝手に成長する
生まれたての赤ちゃんは力が弱く、自分で起き上がることすらできませんが、生後3か月ころには首がすわって寝返りを打つようになり、その後ハイハイや立って歩けるようにもなりますね。
ところがその間、赤ちゃんは筋力を高めるトレーニングなどをしたでしょうか?
実は赤ちゃんは、何もしなくても成長とともに筋肉量が増えて、勝手に運動能力が高まっているのです。

上の図は子供の発育(成長・発達)を示したものですが、おおむね20歳まで発育を続けてることが分かります。
逆説的に考えれば、人間は20歳までは特に何もしなくても、成長をし続ける生き物であるといえます。
30歳から始まる老化
次にこちらのグラフを見てください。

このグラフは30歳以降の老化に伴う生理機能の変化を表しています。
比較対象となっている30歳の数値から、年を経るごとにあらゆる生理機能が低下(老化)していることが分かりますね。
つまり人間は、「20歳までは成長し、おおむね30歳から衰えていく」という生き物なのです。
筋肉は年間1%衰える

日常的に運動をしている人でも、筋力は20歳を過ぎると年間1%のペースで衰えると言われています。
この計算の通りなら、高齢者と呼ばれる65歳になった時には、20歳のころの筋肉量から45%減少sすることになります。
40~50歳代の方ならば、だいたいピーク時の70~80%程度の筋肉量になっていることでしょう。
ちなみにこの減少ペースは「運動していますか?」と尋ねられて、「毎日ウォーキングをしています」と答えるような人で、年間1%の減少速度とされています。
安静状態は身体に毒
安静状態(寝たきり、体をほとんど動かさない)では、1日につき0.5%も筋肉が失われると言われています。
安静にしていることがかえって体に毒となる場合もあるので、よほどの理由がないかぎり1日を寝て過ごすということは避けるべきです。
筋肉の衰えは介護の入りぐち

上の表は、要介護度別にどのような原因で介護が必要になっていくのかを調べたデータです。
そのなかで赤丸で囲った、「要支援1・要支援2」のグラフを見てください。
この要支援という分類は、「日常生活は自分で行えるが、多少の支援が必要な状態」というもので、まさに要介護の入口に差し掛かっている状態です。
要支援クラスと要介護クラスの違いとして特徴的なことは、
「高齢による衰弱」
「骨折・転倒」
「関節疾患」
以上3つの原因構成割合です。
要支援クラスの特徴
要支援1では上記3つの構成割合がいちばん大きく、49.8%を占めていますが、この問題を引き起こす原因はずばり筋肉です。
筋肉量が多い人は、そもそも高齢による衰弱にはなりません。
また、骨折・転倒に関しても筋肉量が多い人であれば骨密度も高く、転倒しにくいというエビデンスがあります。
そして、関節疾患についても筋肉量と相関がある疾患です。
もしかすると、要介護状態になる方の約半数は筋力が衰えたために引き起こされるアクシデントや、疾患が原因となっているかもしれない事実を示すデータであると言わねばなりません。
要介護クラスからは認知症が急増

要介護1~5の青丸で囲ったグラフを見てください。
要介護状態になってからは、認知症の割合が大きくなっていることが分かります。
ここからは日常生活全般において誰かの介護が必要で、QOL(生活の質)も下がっていくので、とても幸せな老後とは言えなくなってしまいます。
不透明な年金・医療制度

このグラフは、2018年の実績値から2040年までの社会保障給付費を予測したデータです。
ご覧の通り、介護・医療分野の社会保障費用は増加しつづけることが予想されています。
年金分野では対GDP比での増加は見られませんが、少子化などが進む現状を考えると、この負担が重くなることは想像に難くありません。
数十年先も同じような医療・年金制度が維持できるか不透明ななか、せめて要介護状態に陥る可能性を減らすため、筋肉を鍛えておくことが有効だと思われます。
つまり安心できる老後の備えとは、老後資金を準備しながら、しっかり筋肉を鍛えて健康寿命の延伸を目指すことになるでしょう。
特に女性は注意が必要

女性は男性に比べて…
① 長寿
② 筋肉量が少ない
③ 閉経後の骨粗しょう症リスクが高い
という傾向があり、こうしたことからも特に筋肉の維持・向上が推奨されます。
注意のポイント
① 長寿
まず長寿ということは素晴らしいことなのですが、健康寿命と平均寿命の差が12歳といわれている日本では、長生きもリスクといえるかもしれません。
前に述べた年1%の筋力低下を考えると、長寿な方こそ筋トレで補う必要が高そうです。
② 筋肉量が少ない
また、もともと男性に比べて筋肉が少ないため、衰えが早く来るのも女性の方が多いようです。
残念なことですが、寝たきりの方に女性が多いのは、ピーク時の筋肉量の少なさが原因の一つとしてあるのかもしれません。
③ 閉経後の骨粗しょう症リスクが高い
閉経は50代で迎える方が多いのですが、閉経後の厄介な問題として、ホルモンバランスが変わることで骨粗しょう症のリスクが高まります。
筋力(筋肉量と同意ととらえてもらって差し支えありません)と、骨密度が比例するというエビデンスもあるので、筋トレは骨粗鬆症予防にも重要なのです。
筋肉を増やすには効果的な筋トレが重要
筋トレと聞くと「シェイプアップ」や「クラブ活動でのしごき」や「スポーツマンやボディビルダーのやっているしんどそうなやつ」というイメージを持つ方も多いようです。
「今更あんな激しい運動はちょっと・・・・」
「時間がないしできない」
「ジムの会員になったけど、どういう運動したらいいのかわからない」
という方も多いのではないでしょうか?
実際のところ、筋トレは時間がかかるもの、きついもの、難しいものという認識の方も多く敬遠されるようです。
そこでお勧めしたいのが、YATAGARASUを使った筋肉ドクター考案の「キストレ」です!
中高年からの筋トレに最適なトレーニングメソッド

まず、キストレは1週間に1回、6機種のマシンをたった30分の筋トレを行うだけでぐんぐん筋力があがります。実際に40~50歳代の方がキストレを行いどれだけ筋力が上がったかというデータがあります。

きつい運動・・・というのはどうしても必要なのでその部分の解消は難しいのですが、1機種当たりの運動時間は1分未満。これならこなせそうな気がします。
では実際に運動の様子をご覧ください。
「えー!こんなに重たいのできない!」
はい、もちろん無理です!
筋トレ動画を見てしり込みされる方がいるかもしれませんが、重要なのは「あなたにとって最大の負荷」をかけるということです。
それは個人によって違い、重量が軽いから恥ずかしい、重いのをあげたからすごいというようなものではありません。
「自分自身にとって一番ハイパワーな運動を筋肉にさせる」ことを心がけることで、効率的な筋トレができます。
自分にとって最適な重量を探ることから、筋トレが始まると言っても過言ではありません。
いかがでしたか?
40歳~50歳の方にとって、老後の生活は差し迫った課題として意識されていることだと思います。
ぜひそのときには、老後資金とおなじくらい筋肉の衰えにも配慮した方が良いことをおぼえていてくださいね。
この記事を作成しました

手技療法機器、リハビリ・トレーニング機器の製造販売会社の代表を務める。
手に負った深刻な怪我を、湿潤療法(ウェットドレッシング)という新しい創傷治療法で、小島医師に治癒してもらった経験から関係が深まる。
その後、「筋肉ドクター」から独自の運動療法理論や筋トレに関する薫陶を受け、YATAGARASUの開発・製造のパートナーとなる。
2019年より、WCEM(WORLD CONFERENCE ON EXERCISE MEDICINE:世界運動療法学会)外部委員を務めています。